2004.01.0012:00 PM
[Original version]
[Why the Future Doesn't Need Us?]
数々の新しいテクノロジーの構築に関わり始めたその瞬間から、僕はそれらの倫理的な側面についてずっと心配してきた。だけどついこの前の1998年の秋から、その時から僕は21世紀に人類が直面する危機の凄まじさに本格的に不安を感じるようになった。その不安はレイ・カーツワイルに会ったその日から始まったと言える。彼は視覚障害者のための文章読み上げ装置の発明やその他数々の素晴らしい業績で有名な人物だ。
レイと僕は二人ともジョージ・ギルダー主催のTELE-COSMイベントの講演者として招かれていて、自分たちのセッションが終わった後に僕は偶然にもそのホテル会場のバーで彼に出会ったんだ。僕はバークレーで意識の研究をしている哲学者ジョン・サールと座っていた。僕たちが話している時にレイが近づいてきて、それから会話が始まったんだ。その時の内容が今日に至るまでずっと僕に付きまとっている。
僕は聞き逃したのだけれど、レイは自分の講演の後にジョンと一緒にパネルディスカッションに参加していた。そしたら彼らは僕の目の前で討論の続きを始めたんだ。レイが言うには、テクノロジーの発展の度合いは加速するはずだから僕たちはロボットになるか、ロボットと合体するか、それに近い何かになるはずだってね。そしたらジョンはそれは有り得ないって反論するんだ。ロボットは自意識を持つことができないから、って。
そんな話が出る時、僕はいつも決まって意識を持つロボットなどは空想科学の世界の中にしかいないって感じていた。それが今、尊敬している人たちが僕の目の前で、それらを差し迫った可能性として激しく議論しているわけだ。ビックリしたよ。何と言っても未来を作り出してしまうレイの能力は証明済みだったからね。もちろん僕だって、遺伝子工学やナノテクノロジーといった新しい技術が世界を作り変える力を僕たちに与えていることは知っていた。でも、知性を持ったロボットについての現実的かつ切迫した彼らのシナリオには驚かされた。
この手の話にうんざりさせられることはよくある。ニュースではほとんど毎日、何らかの技術的あるいは科学的な発見なんかが報道される。でも、あれはそこら辺に転がってるような予測なんかじゃなかった。あのホテルのバーで、レイは出版予定の自分の本のコピーの一部をくれた。その本はスピリチャルマシーンの時代というタイトルで、彼が予見する理想の世界を説明していた。その本では例えば、ロボット工学を利用して人類が不死に近いものを手に入れることなどが説明されている。それを読んでいると、自分の不安がただただ大きくなるのを感じた。彼は間違いなく起こりうる危険が分かっている、彼はこの道を進むことの代償についても理解している。僕はそんな風に感じた。
その中で特に、悲劇的な世界への予測について詳しく説明する下りには大きな困惑を感じた。